林職協勉強会でセーザイゲームをプレイ
2023年8月3日、安曇野市のもくりゅう館で長野県林業職員協会の「勉強会」が開催され、27名の会員が参加しました。
本年は、「セーザイゲームで学ぶ!製材の世界」と題して、三重県熊野市を中心に川上から川下までの関係者21名で活動している「熊野林星会」から野地伸卓氏と野地良成氏を講師に迎え、熊野林星会と三重大学が共同で開発した、製材会社の経営を模擬的に体験できるボードゲーム「セーザイゲーム」で製材の世界について学びました。
セーザイゲームは、製材業を営む中で木育で「製材」について伝えるコンテンツが無いという想いから、均一でない自然の恵みである丸太から木取りをし、製品に仕上げて収益を上げる「製材」自体にゲーム性があることに着目し、製材会社が行う「仕入れ」「木取り」「販売」を遊びながら学べるよう、三重大学と共同で開発したボードゲームです。
4~5人のチームにわかれてそれぞれが製材会社となります。今回は6チームで行いました。
はじめに丸太を仕入れるためにセリを行います。スクリーンに映し出された素材丸太の写真を見て、元玉かどうかや節の有無、径級から目利きし、希望の金額で競り落とします。そして、仕入れた丸太の木口を模したシートに、熊野のスギ材で作られた「材木ブロック」を並べて木取りを決め製材します。そうして、製材された製品を販売し収益を得て、最終的に如何に収益を多くあげられるかを競います。
丸太には良い方からS,A,Bと3つの等級があり、節に当たってしまうと材木ブロックの裏面にあるより安い製品にしか製材することが出来ないようになっていることから、歩留まり良く木取りをするため参加者同士で話し合いながら真剣に悩む姿がありました。また、セリは製材中は参加できませんが、競り人がいる限り次々に始まるので、あまり時間をかけず木取りを決めていく必要があります。良質な丸太を狙って質の良い製品を販売するのか、あえて節のある材で数多く製品を造り稼いでいくのか、各チームの経営力が問われ、ゲームは大変盛り上がりました。
結果、大径の良材を惜しむことなく積極的に仕入れた若手職員中心のチームが143,000円の利益を上げ優勝し、節のある材を中心に数多く製材する戦略を立てたベテラン・若手混合チームが130,000円の利益を出し、2位につけました。
その後、データから見る林業や製材業の現状や和室役物を得意としてきた熊野地域の林材業についてのほか、そして実家の製材会社(㈱nojimoku)を継ぎ、経営に取り組んできて見えた課題や、より多く地域の材を使った製材品の顧客を増やすための展望などをお話いただきました。
地域の森林資源をより価値を付けて利用していくことは長野県各地でも共通の課題となっています。参加者からはセーザイゲームを通じて丸太や山を見る目が少し変わったという感想や、それぞれの地域で抱える林業の課題について多く質問が上がりました。
林業、そして製材業について世界が広がるきっかけとなる刺激的な勉強会となりました。