国産のしいたけを選んでいますか?
山林から生産される産物のうち木材以外のキノコ類、木炭、竹などの産物を『特用林産物』といいます。その中から【キノコ】についての話題です。
スーパーや農産物直売所に並ぶキノコには、山で採れる野生のキノコと栽培しているキノコがあります。
山に自生している天然物は間違いなく国産です。
では、国内で栽培されているキノコは全て国産でしょうか?
令和4年3月30日、消費者庁の食品表示基準Q&Aが改正され、しいたけについて、原木又は菌床培地に種菌を植え付けた場所(植菌地)を原産地として表示することが示されました。生鮮しいたけは令和4年9月末までに、しいたけ加工食品(原材料に占める重量割合が最も高い原材料がしいたけである加工食品)は令和5年3月末までに表示の切り替えをお願いします。
林野庁HPより
法改正により、種菌を植え付けた菌床を輸入し国内で栽培し収穫したものは、国産とは表示出来なくなりました。植菌地を原産地と表示するようになりましたので、国内で栽培しても輸入した菌床から採れたものは『外国産』になります。
林野庁からの啓発資料をご覧ください。
≫≫≫『原産地表示が変わります。』(PDF)
現在はしいたけだけですが他の栽培キノコについても今後拡大されるかもしれません。
健康志向の高まりとともにキノコの有用性が再認識されています。
・低カロリー
・食物繊維、ビタミン、旨み成分が豊富
・免疫機能を向上
キノコの栽培は適切な山の管理と山林の維持に貢献することができます。
生態系や環境維持にも役立っています。
『国産』のしいたけを選ぶということは、SDGs(持続可能な開発目標)を意識した行動と言えます。
森林組合では栽培用資材や各種種菌などを取り扱っております。
野生のキノコ
山で見つけ喜びのあまり舞を舞ったことから「舞茸」と名が付いたとも言われるマイタケ。
菌根性キノコの代表のマツタケはアカマツと共生しています。今のところ栽培方法は確立されていないので天然物だけです。
野趣あふれる天然のきのこ。これらは間違いなく国産です。
日本にはたくさんの種類のキノコが自生しており、食べられる物か毒キノコか判らない物も多くあります。
過去に食べられていた物でも近年になって毒キノコと判明した物もあります。
安易に判断せず専門機関の判断を仰ぐことが大事です。
また、出荷制限されている地域もあります。
直売所や道の駅などに出荷する際は最新情報を確認してください。
林野庁ホームページをご覧ください。
≫≫≫『野生キノコの採取にあたっての留意点』
栽培しているキノコ
栽培方法により、原木栽培と菌床栽培の2種類があります。
原木栽培 | 適度な長さに玉切りした原木に種菌を打ち込み、林地やホダ場などの自然環境下で1~2年間菌糸を蔓延させて発生させる栽培方法です。 |
菌床栽培 | おが粉や米ぬかなどの栄養源を加えて固めたものを菌床といい、 それに種菌を植え付け施設内で空調などを調整してキノコを発生させる栽培方法です。 |
原木栽培
栽培に使用する原木はキノコの種類によって適した樹種があります。
しいたけの場合はクヌギやコナラ等になり、紅葉の時期から翌春の間に伐採し葉をつけたまま「葉枯らし」をして原木の水分を抜きます。
椎茸ドリル等であけた穴に種菌を植え付け菌糸を成長させます。
種駒の場合、ふた夏(夏を2回)過ぎた秋から発生が始まります。
天然物に近い味わいのキノコが採れますが、重い原木を扱う為に重労働であり生産者の高齢化もあって生産量は減少しています。
菌床栽培
市販されているキノコの多くは菌床栽培の物です。
原木に比べ菌床は軽いので高齢になって菌床栽培に切り替えた生産者も多くいます。
旨みや歯ごたえ等自然のものと比べると物足りないこともありますが、季節や気候に左右されず安定生産が出来ます。
種菌・資材
各種菌の特徴
種駒 | 乾燥に強い 接種が簡単 | 接種から発生までに期間が長い |
オガ菌 | 活着、まん延が早い キノコの変形が少ない | 接種機器が必要 接種の効率が劣る |
形成駒 | 接種が簡単 活着、まん延が早い | 乾燥に弱い キノコが変形しやすい |
キノコの種類によっては取り扱える種菌が限られる場合があります。
詳しくはこちらをご覧ください。『種駒・種菌の紹介』