令和6年度 長野県造林協会通常総会 森林・林業セミナー開催
7月3日(水)長野県林業センター(長野市)で長野県造林協会通常総会及び森林・林業セミナーが開催されました。
本協会は79の会員(60市町村、15森林組合、4県域団体)によって構成され、再造林の推進や森林資源の有効活用、森林・林業に関する知見を深める活動のほか、森林整備に関する政策提言を、上部団体である「日本造林協会」を通して実施しています。
通常総会ではまず、令和5年度の業務報告が行われました。主な活動内容としては、令和5年度の通常総会のほか、森林林業セミナーとして、森林に関する案件を専門とし、森林経営管理制度に関する講演活動を全国で展開されている那須法律事務所の品川尚子弁護士を講師に迎え、「森林経営管理制度のヒントとコツ~森林経営管理法の特例措置か?令和3年改正民法の所有者不明土地管理制度か?~」と題して講演をいただきました。また、東京都で行われた森林整備事業研修会や長野県林業防除協会が主催の「森林病虫害防除研修会」へ参加しました。一方、関係機関と連携し、県選出の国会議員への要請活動も実施しました。本年も引き続き、各方面に森林の大切さと林業の役割の重要性を認識していただけるよう活動を推進してまいります。
通常総会後の森林・林業セミナーでは、造林を専門として「木を伐らない林業」を提唱する株式会社中川の中川雅也氏を講師に迎え、講演をいただきました。講演の前半では、株式会社中川を起業した理由から、「現在の林業の課題と弊害」について話された後、その課題を解決するため、株式会社中川が取組む「どんぐりビジネス」について解説がありました。どんぐりビジネスとは、山林所有者と株式会社中川との間で山の維持・管理について契約を行い、自社や地元企業等と連携し生産したどんぐり(苗)を山林に植えていく事業です。どんぐりが作るビジネスは、苗の生産や山の維持管理・獣害対策だけではなく、学校教育や・SDGsへの貢献といった林業に直接の関わりを持たない人にも関わりを作るビジネスモデルとなっています。
講演の後半では、人事労務管理についての株式会社中川独自の社員管理方法について解説がありました。きつい・汚い・危険・給料が安いという林業のイメージからの業界の働き手の減少という課題から、「どんな人でも自分で自分を養える状況を作る」という目標のもと、日当制や余裕を持った6時間勤務のフレックスタイム制、会社内での全従業員の給料の公開や独立時に社内からヘッドハンティング制という社内独自の方法を採用されているそうです。林業業界も人手不足は大きな課題であるため、参加者は自身が働く場所に置き換えて考えながら熱心に耳を傾けていました。
最後に持続可能な林業に向けて、取り組んでいる具体的な事例を交えながら講演を終えました。終了後の質疑応答の時間では、林業×○○といった産業の思いついた理由や、人材確保の方法・産業用ドローンの有効活用の方法といった、予定時間を超えるほどのたくさんの質問が飛び出し、盛況のうちにセミナーが終了いたしました。林業での画期的な事業を生みだし、これまでの林業業界には無かった視点での解説があり、今後の業務の参考になる講演となるものでした。