森林組合とは
森林組合とは、森林組合法によって設立され、森林所有者が出資し組合員となって組織している協同組合です。森林所有者の経済的社会的地位の向上、森林の保続培養、森林生産力の増進を目的として組織されています。(森林組合綱領)
森林組合の事業
・森林づくり
・森林の調査
・講習会の開催
・組合員だよりの発行
・林産物の生産
・特用林産の活用
・林業作業道の整備
・購買物資の提供
・住宅等の建築
・環境緑化事業と森林の有効活用
・各種補助事業の申請手続き
長野県の森林組合
長野県には18の森林組合があります。
長野県の森林面積のうち、35%が国有林、65%が民有林です。その民有林の7割が、私たち森林組合員の森林です。
私たちは、約85,000人の組合員の共同組織体として、森林資源の有効活用と、常に活力ある森林の維持に努めています。
(県内森林組合マップ)
森林と林業について
(1)森林の機能
日本の国土面積に占める森林面積の割合は約7割です。これは現在、世界の先進国(OECD諸国)の中では、フィンランド、スウェーデンに次いで3番目に多い割合となっています。森林には様々な機能があり、私たちは日々その恩恵を受けて生活しています。そのため、森林の持つ多面的な機能は「公益的機能」と呼ばれています。
▷森林の公益的機能
①生物多様性保全機能
森林には、多種多様な生物が生息しており、生態系がつくられています。私たちの生活に必要なもの(食料や生活用品の素材)も、健全な生態系があってこそ供給されているものが数多くあります。森林が放置され荒廃すると、生態系が脅かされ、私たちの生活にも影響を及ぼす可能性があります。私たちは森林と、その森林が作り出す森林生態系から多大な恩恵を受けているのです。
②地球環境保全機能
森林を構成している樹木は昼間、光合成によって二酸化炭素を吸収します。私たちの生活によって排出されている二酸化炭素を吸収することで、森林は、地球温暖化を抑制するはたらきをしているのです。樹木が生きている間だけではなく、木材となって利用されることで、生きている間に吸収した二酸化炭素を炭素として固定しておくことができます。健全な森林をつくることで二酸化炭素を効率よく吸収させ、木材として利用し炭素を固定しておく、環境の保全のためにはこのサイクルが必要となってきます。
③土砂災害防止機能
森林は、表土(土壌の表面)がたくさんの落ちた枝や葉等で覆われており、さらに他の植物も植生し根を張っています。そのため、雨が降っても地面そのものには雨水が当たりにくく、土壌表面の流出が抑えられます。また、森林の土壌は柔らかく水を吸収しやすいため、土壌の浸食や流出を抑える効果があります。そのため、森林はあらゆる土砂災害を抑制する機能を持っているのです。
④水源涵養機能
森林の土壌には微生物等のはたらきによってできる孔隙(土壌内の隙間)があり、水を吸収しやすく、たくさんの水を保持することができます。そのため、雨が降っても河川が急激に増水することを防ぎます。また、ため込んだ水はゆっくりと時間をかけて河川に流れていくため、雨のない時期でも水が枯れることはありません。森林にはこのような洪水・渇水を緩和する機能があり、このため森林は「緑のダム」と呼ばれることもあります。
⑤その他
森林の公益的機能とよばれるものには、他にも「保健・レクリエーション機能」、「快適環境形成機能」、「文化機能」、「物質生産機能」があります。森林が普段、私たちの生活にもたらしてくれる恩恵がいかに多いのかがわかります。
(2)林業について
林業は、森林をつくり、育て、木材を生産する産業であると同時に、(1)で述べたような様々な機能(国土の保全や観光等)も目的とされています。森林のもつ様々な公益的機能は、森林が健全であってこそ発揮されるものです。森林を健全な状態に保つためには、森林に適切な手入れを施し、収穫して木材を利用し、再び造林する、循環型の林業を行っていく必要があると考えられています。
▷林業のサイクル
①地拵え
苗木を植栽する前に、苗木の場所をつくる整地作業です。雑草や枝などを取り除き、苗木の生育環境を整えます。
②植栽(植林)
春または秋に、苗木を植えます。ある程度密集させて植える(スギの場合は3,000本/ha)ことで個体間競争が生じ、真っ直ぐ上に向かって育つようになります。
③下刈り(下草刈り)
苗木の成長を阻害する他の草木を刈り取ります。下刈りは、苗木が苗木の周りに生える他の草木よりも背が高くなるまで毎年行います。雑草が最も成長する夏場に行う作業です。
④つる伐り・除伐
ある程度大きくなった苗木(以下、植栽木)の幹につる性の植物が巻き付いて成長を妨げるのを防ぐため、「つる伐り」を行います。また、植栽木の成長を妨げるような灌木(低木)、または成長が悪かったり、曲がってしまった植栽木を除去する「除伐」を行います。
⑤枝打ち
10~15年ほど経つと、植栽木は4~8mほどに成長します。この頃には枝が付き始め、放っておくと林内が暗くなったり、害虫がつきやすくなったりするため、枝を付け根から切る作業をします。枝打ちをした箇所は成長に伴って覆われ見えなくなるため、将来的に節の少ない優良な材になります。
⑥間伐
20年~30年ほど経つと、植栽木は成長し林内が混みあってきます。そのままにすると細く貧弱な木となってしまうため、間引き作業「間伐」を行い、本数を減らします。そうすることで、林内の環境が良くなり、残された植栽木は太く丈夫に成長していくことができます。間伐は、伐倒した木を搬出して利用する搬出間伐と、そのまま山に放置する伐り捨て間伐があります。
⑦主伐
植栽木が完全に成長し、利用できる大きさになったら収穫します。この伐採を主伐といい、主伐を行う時期や林齢は樹種によって異なります。